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昔から外国に住んでみたかった。
昔はイギリスに憧れていた。最初の海外もイギリスで、暗い空、ロンドンの街並み、それらは僕を決して裏切らなかった。
外国に住んでみたい、そんな気持ちも大学を卒業し、サラリーマン生活、結婚などを経験するうちに忘れてしまっていた。
昨年の夏、夫婦で屋久島へ行った。どんな言葉を使っても言い表せないほど素敵な場所だった。
月並みな表現で言うと、生命あふれる島だった。
お互い気分が多少高揚していたこともあるだろう。彼女の口から信じられない言葉が出てきた。
「1年くらいなら外国に住んでみてもいいかもね。」
どういう会話からその言葉が出てきたかは覚えていない。
楽観主義の僕に対して、現実主義の妻。
今までも何度か海外へのあこがれを僕が口にしたときも、「何言ってんの!」の一言で済まされていた。
ほんと予想もできない言葉だった。
ちょうどその頃の僕はこれからどうしようかと考えていた。
会社に大きな不満があるわけではなかったが、このまま定年までサラリーマンとしてやっていくということに現実感がなかった。
家具が好きで、北欧家具が好きで、その北欧家具を扱う仕事をしている。
今のままでも十分恵まれているんじゃないの?そんなことも頭もよぎった。
この不景気な世の中に自分の好きな仕事をできるだけでも幸せだ、と思ったりもした。
でも100%納得できないでいた。
今の会社で仕事を続ける、転職、独立、いろいろと選択肢がある。
「フィールドを日本にこだわることはないのでは・・・」
ふと頭をよぎった。家族の理解が得られたことも大きかった。
頭をよぎった瞬間から、その気持ちがどんどん大きくふくらんでいくまで時間はかからなかった。
31歳の夏だった。
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